阪神タイガースのアレは、18年ぶりで良いのか?

京都で暮らしていると、ニュースは関西ローカル局。NHKは京都放送局がメインだけど、なぜかウチは地デジのアンテナが大阪放送局を取るようになっている(そのせいでテレビ大阪は入ってもKBS京都が入らない)。京都よりも大阪寄りの情報が多く入る。民放は、どこも大阪で制作している。

というわけで、18年ぶりの阪神タイガースの「アレ」も大阪で暮らしている並みに情報が入ってきます。

18年ぶりということは、今、22歳の娘は前回優勝時には4歳。「18年前の優勝の記憶がない」とのことだけど、普段から野球中継をみる習慣がないのもあって、ある意味当然でしょう。ちなみに、22歳ということは、次に18年後に優勝する時は、40歳!いかに18年が長いかを実感します。

で、ふと思ったんです。18年ぶりに優勝したのはいいけど、

18年は長すぎでないか?

ということ。

セ・リーグは6球団。仮に、交互に優勝できるのなら6年に一回はできるはずだけど、それが18年ぶりということは、

優勝チームが偏ってるのでは?

と日本のプロ野球だけでなく、海外の各種リーグの優勝チーム事情を2000年から2023年について調べて表にしてみました。

セ・リーグは巨人が多くて23年中10回。

巨人の優勝率は43.5%

なので、半分近くは巨人が優勝してます。残りは、ヤクルトと中日の4回、広島の3回、阪神の2回。そして横浜は0回。

でも、これで偏っているなんて、言ってられないのが、ドイツのブンデスリーガ。リーグには18チームもあるのですが、バイエルン・ミュンヘンが23年間で17回も優勝していて、

バイエルン・ミュンヘンの優勝率は73.9%

リーグは、基本的にバイエルンが優勝するように運営されているのかもしれません。そして、ここ10年はバイエルン以外は優勝してません。最後にバイエルン以外が優勝したのは、香川真司が活躍したドルトムント。

欧州サッカーのリーグは、イタリアのセリエAのユヴェントス、スペインのラ・リーガのレアル・マドリードのように優勝チームが偏っています。リーグには18〜20チームもあるのにも関わらずです。(表には載せてないですが)イギリスのプレミアリーグだけは、マンチェスター・シティとマンチェスター・ユナイテッドが7回ずつ分け合い2強状態を形成。

勝つべきチームが勝つことで、皆が満足する場合は、こういうリーグになるでしょう。まぁ、優勝だけがリーグじゃないですけどね。

サッカーは、一強に挑むスタイルが標準なのか?と思いきや、日本のJ1は、鹿島が6回で、続くのが横浜と川崎で4回ずつ。3強状態でしょうか?ここ数年に限れば、横浜と川崎の2強状態です。

さてさて、一方、アメリカの場合、様子はまったく違ってきます。NFL(アメリカンフットボール)とNBA(バスケット)がニューイングランド・ペイトリオッツとロサンゼルス・レイカーズで6回。MLB(野球)はボストン・レッドソックスの4回と、かなり散らばっている印象です。

NFLは1位はペイトリオッツの6回ですが、それに続くのは、チーフス、バッカニアーズ、パッカーズ、スティーラーズと4チームが2回ずつで競り合っています。サラリーキャップ制度や前年の下位順位チームからの指名順になるドラフト制度など、どこが勝つかわからない状態を作っているリーグだからのこの結果なのかもしれません。でも、逆に、ペイトリオッツが抜けているのはどういうこと?ですよね。


こういったリーグ構成は、「どういう競争を良しとするか?」という社会のあり方とも関係していると思うんですよね。スポーツルールにみる社会学とでもいう、おもしろい領域だと思います。

例えば、一強の巨人に、残り5球団が挑むという構図。これは「アンチ巨人」という言葉でも表現されています。「アンチ阪神」「アンチヤクルト」という言葉もあるとは思うのですが、「アンチ巨人」ほどの市民権を得ているとは思いません。それは、この巨人一強構図の反映だと思います。

昭和時代にあった「巨人、大鵬、卵焼き」という子どもが好きなものトリオを表す言葉もありますが、「長い物には巻かれろ」「勝ち馬に乗る」風土の反映でもあると思います。お決まりの流れ、十八番、様式美という意味では、「水戸黄門」などの時代劇や勧善懲悪のヒーローストーリーや、歌舞伎などの伝統芸能、ひいては自民党一強という政治体制もリンクしているのかもしれません。

一方、「自分以外は全員敵」でバトルロイヤル状態なのが、アメリカの各リーグ。言ってみれば、「誰が勝つのかわからない」「シーズン初めは全員横並び*」という「機会の平等」を理想とする社会の反映かもしれません。実際は、とくに近年分断化が広がるアメリカでは、機会の平等はどんどん失われてきているように思いますが、それでもスポーツの各リーグの中くらいは、理想を体現する思想を追い求めているとも言えます。

*常勝と言われるニューイングランド・ペイトリオッツのヘッドコーチ、ビル・ベリチックの言葉に、"We started at the bottom of the mountain with everyone else."(「過去の実績はどうあれ、シーズンが始まるときはすべてのチームが0勝0敗で横並びだ」)というモノがあります。

リーグ運営には、各国や地域の社会のあり方や好みを反映していると思います。何が良くて、何が悪いと判別するモノでもありません。が、「18年ぶりの優勝」をただ枕詞のように聞き流すのではなく、「そういえば、18年ぶりって妙じゃない?」と思考を巡らすのも、これまた一興では?と思い、つらつらと書き残したまでです。



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